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パンダブログ

2016年10月17日

自立したアスリートになるための秘訣(マラソンランナー加納由理の大学時代)

アスリートとしての能力が飛躍的にアップした立命館時代

アスリートとして加納由理が確立できたのが、大学時代にあったと思います。

私は高校卒業後、実業団には入らず高校の顧問の先生の勧めで大学へ進学することにしました。

大学に入って3つ、得たことがありました。

1つ目は、自己管理が出来るようになったこと。

2つ目は、目標を設定し、そこから逆算すること。

3つ目は、よいコーチと出会えたこと。

それによって自分が思っていた以上に自立したアスリートになることが出来ました。

ということで、今回はそれぞれについてお話をしていきたいと思います。

自己管理が出来ない選手は伸びない

大学へ入学を機に、これまで暮らしていた兵庫県を離れ、京都で1人暮らしの生活がはじまりました。

当時の立命館大学の女子陸上部は寮がありませんでしたので、 競技のことだけでなく、生活面の食事や時間の過ごし方など、すべてのことにおいて「どうするか?」「どうなるか?」は、自分次第でした。

私は、昔から人に何か言われて行動するのが苦手です。 自分で「こうしたい。」「こうなりたい。」と思ったからこそ、自己責任で行動する。その方が頑張りがいがあり、結果も違ったのです。

振り返って考えると高校卒業したばかりでいきなり1人暮らしをはじめたことで、自己管理する能力が高まり、強くなりたいと思う自分には合っていたように思います。

これは、中学・高校と自主性も大事にしている環境でやってきたのが大きい影響を与えているように思います。

中でも、自分の中で1番心配だったのが食事面でした。 これまで食事は母親が全部やってくれていましたので、ぶっつけでした。

最初はとにかく本を見ながら、見よう見まねでご飯を作っていたので時間もかかっていました。

例えば、朝ごはんはいつも同じメニュー。ご飯、味噌汁、チンしたかぼちゃ、といった感じが1年ほど続きました。

でも、「自己管理が出来ている」=「結果につながる」と言うのが目に見えたのが、楽しかったのを覚えています。

大学時代に寮に入り、食事も管理されることで強くなる人もいますが、私の場合、生活面でも自分で管理するというスタイルが作り上げられました。これはその後のアスリートとしての人生に大きな影響を与えました。

これらの経験があったからこそ、海外での試合などの慣れない環境(食事や生活)でも、他の日本人選手に比べうまく適応できていたのではないかと思います。うまく適応することで、走るコンディションもよい状態に保つことができるんです。

逆に管理されてきた選手や過保護にされる環境で育つと、海外のような全然違う環境に入れられた時に、適応できず、ハンデになってしまうこともあります。

意外にも世界で活躍する海外の選手は、生活面を含めて、自分のことを自分でできる選手が多かったのです。ですから、この大学時代は、世界で戦う選手になる上でも大きな影響があったのではないかと思います。

目標を設定し、そこから逆算すること

中学から本格的に陸上競技をはじめた私ですが、中学・高校では選手として自分が思い描いたようなレベルまで達することが出来ませんでした。

まだ弱い選手でしたので、掲げた目標に対して自分の気持が腹落ちしていなかったからのように思います。

そんな私でしたが大学入学早々いきなり、関西インカレの10000mで優勝しました。

それをきっかけに、いままでは「早くなりたい」という漠然としてきた夢が明確な目標に変わってきます。大学生のトップランナーとしてやっていけるのではないか。というのが見えてきて、アスリートとしてもっと上にいきたいと思い始めたのです。

そして生まれたのが「大学3年生になる頃には大学チャンピオンになる」という目標です。

正直、その頃は力もありませんでしたが、なぜか出来なくはないだろうという思いがあったのです。

今までトップになることとは縁がなかった私が、大学チャンピオンになったらどう変われるのだろう?という興味もありました。

そして運良く、2年生で十倉さんというコーチと出会い、コツコツとトレーニングを重ねていったことで『大学チャンピオになる』という目標が現実的になってきたのです。

私は5月下旬の選考会に向けて、年明けの時点で、 十倉コーチ、そして周りにも「5月の学生種目別選優勝して、ユニバーシアード(大学生のオリンピック)代表になる。」と、発言していました。

ですので、そこから逆算してトレーニングが年明けから始まったのです。

それまでにも、トレーニングはもちろん、いくつかのレースにも出て、自分の現状を知るといったこともやりました。

レースの中には全然走れなくてショックな時もありました。 そんな時は、練習日誌をみてレースまでの振り返りをして、修正するといった感じでした。

日誌の写真

わたしはこの頃から、自分自身のコンディションなどを日誌にまとめたりしていました。

特にこの頃の私は、すべてにおいて全力で取り組む姿勢でしたので、ダメだった時の練習日誌の振り返りが頼りでした。

振り返りをすることで、レースまでの流れを把握し、次のレースで失敗しないように修正することが出来ていたのです。

そして、5月。

本番のユニバーシアードの選考会では優勝し、自動的に日本代表選手として選出されました。

素晴らしいコーチとの出会い

私がアスリートとしての型が出来たのは、十倉コーチの存在があったからこそです。

現在、駅伝5連覇を成し遂げ強豪校として有名な立命館大学ですが、 私は今もコーチを務める十倉コーチの1期生でもありました。

授業が終わってから集まってトレーニングをするという流れは今でも変わらないと思いますが、朝練習は各自に任せていたので、やるかやらないかは自分次第でした。

現在の立命館では、朝練にくるのが当たり前という雰囲気があるそうですが、私の時代は1年間くらいはほぼ、十倉コーチと私の2人で朝練習という日が多かったです。 しかも、朝5時半とか6時くらいからスタート。

私は、目標設定がはっきりしていましたし、本当に大学チャンピオンになりたいと思っていましたので、 走っているのが1人であろうが、結果を出してやると思っていました。

そしてそれをやり通せたのは、十倉コーチが私の目標達成に向けて、とことん付き合ってくれたからだと思います。

十倉コーチは、 目標に向かって努力をする選手には、強い弱いに関係なくとことん向き合ってくれるコーチです。

逆に、ネガティブ思考な選手には自分で這い上がってくる道を見つけるように厳しくするコーチでした。

十倉コーチの特徴はとにかく選手に自分で考えさせるという自主性を大切にしていました。トレーニングに集中出来る状況を自分自身で作るからこそ、いいトレーニングが出来るといった考えがあったからのように思います。

そして、私は4回生の時に女子陸上部のキャプテンも務めました。 これまでも中学でキャプテンをやったこともありましたが、中学時代のキャプテンというのは名前だけ。そこまで責任感を持ってやっていた感じはありませんでした。

女子陸上部は部員が30人位いました。

1ヶ月に1回くらいのサイクルでミーティングをやっていたのですが、あまり話すのがうまくない私は、 ミーティングはあまり説得力がなかったかのように思います。

ですが、競技に対する姿勢、それを結果で表現することは出来ていましたので、話せない分は背中で引っ張っていたという感じでした。

十倉コーチもそんな私のこともよく分かっていましたので、言葉で私が足りなかった分は補ってくれていたりしました。

今では話すトレーニングを重ね、60分講演も出来るようになった私ですが、その頃の私を知っている人からすると、私の進化は驚きだと思います。

そんな十倉コーチに育てていただいた私が、よく「立命館はなぜ強いのか」という質問をよく聞かれます。

私の考えでは、「自分自身で考える」という文化があることだと思います。

目標もただ与えるのではなく、どうしてその目標を達成したいのかを選手自身がしっかりと腑に落ちるまで話し合いをさせます。十倉コーチが直接、ミーティングに入ることもあれば、選手だけでミーティングをさせるということをしています。

強い選手もいれば、そうでない選手もいます。しかし、私の経験上、駅伝の強いチームというのは、全員が同じ方向を向いていないと強くなれないと考えています。

だからこそ、「チームの目標を一人一人の自分事にすること」や、「チームでの共通の認識をつくること」を大切にしているからこそ、立命館の強さが生まれていると思っています。

アスリートとして本格的な自覚、トップアスリートになるためのスタートラインに立つ

これまでも自主性主体の環境にいましたが、大学に入りさらに自由な環境になりました。そこで自己管理が必要となり、結果を出すのも出さないのも自己責任と捉えて歩み出したことは、私の競技人生によい影響を及ぼしました。

また、大学で素晴らしいコーチとの出会い、それによって大学チャンピオンになるという目標が現実になり、実業団に進んだら世界で戦うような選手になっていこうという土台が出来ました。

これまで競技を続けるにあたって、 良いときも悪いときも経験しながらここまで続けられているのは、これまで出会って来た人が良かったからだと思っています。 感謝できるからこそ、周りも応援してくれるのです。

大きな目標に向かっていくには、これまでの自分から大きく変わるには周りの人の支えは必ずといっていい程必要になってきます。

結果を出すことで、自分を応援してくれる人たちの笑顔が見られる。 人として、アスリートとして成長出来た大学4年間でした。


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