2016月02年08日
先日、福島県の大玉村で講演会を行ってきました!
現在、私はいろいろなところで講演活動をさせていただくことがあるんですが、今回は福島県の大玉村で講演会を行ってきました。
大玉村は、「日本で最も美しい村」に加盟している村です。
まだ時期は早かったのですが、広大な田園に広がる「黄金の稲穂」が、
あと2週間ほど(9月下旬頃)で見れるようです。
福島県の大玉村は、「夢を育てる教育をする」というのが村の方針なんです。これって、すごいですね。行政が、住民の「自尊心」「自己肯定感」を高めていくことが大切だと考え、様々な教育事業やスポーツ振興などをやられているんです。
私もこのお話を聞いた時に、「本当に素晴らしいな」と思いました。また、「私の経験を活かしたい」と強く思いました。
そこで今回のテーマは加納由理の夢の叶え方・見つけ方
~高校でインターハイに出れなかった私が、なぜ日本代表になれたのか?~
と題して講演をさせていただきました。
1ヶ月前から仲間とプログラムを作って、プレゼンの練習をして挑みました。プログラムを作るにあたり、改めて、自分の人生を振り返っていきました。
今回のブログでは、どんな内容をお伝えしたのか、研修を振り返りながらお伝えいたしますね。
夢はイメージすることから始まる!
私、この夢の叶え方ということで、いろいろ振り返っていくと、物心つく頃から「走るのが速くなりたい」とずっと思っていました。
私の両親もマラソンやランニングが好きで、家でもマラソンや駅伝をテレビで見ていました。
私も一緒に見ているんですが、見ていると「自分もあのようになりたい」と思ったり、テレビ中継が終わると、着替えをして、一人で飛び出して走り出していたんです。
そして、中継されている自分を妄想しながら、「加納選手、現在1位です。」とひたすら走っていたんです。
本当に子供の頃、妄想していたんです。つまり、イメージトレーニングですね。
この妄想、親や友達に言ったらバカにされると思って、いままで隠していました。
でも、これがとっても大切なんです。つまり、夢はイメージすることから始まるんです。
今日は、そのお話をたっぷりとさせていただきます。
自分の目標をどこに置くか?
皆さん、日本代表になる選手って、元から才能があるように思いませんか?
でもね、実は私は高校生の時、インターハイに出ることができませんでした。
もちろん、出たかったし、努力もしました。でも、私は学年で3番手でした。
その頃、同年代の子たちはインターハイで全国大会に出ている人たちもいました。そして、彼女たちは、卒業後に実業団に入りました。
一方、私は高校時代には3位でしたが、大学時代に学生のオリンピックであるユニバーシーアードで銀メダルをとり、実業団に入り、日本代表に選ばれ、35歳まで現役を続けることができました。
この話から分かるのは「必ずしもいますぐ才能が開花して、成功するわけではない」ということです。
そして、「どこに目標を置くかが大切」だと思います。
私は、まだ3位でインターハイも出れない頃から、「将来は日本代表になりたいな~」と思っていました。
それを周りに言ったのは、大学生になってからです。でも、高校生の時は、心の奥底では思っていたのです。
だから、もしかしたら、高校時代に私よりも才能や実績のあった人でも「実業団に入る」がゴールだった人は、それで達成できて満足したかもしれません。
でも、私は「日本代表になりたい」とずっと思っていたから、実業団に入ったのは、スタートにすぎませんでした。だから、そこから練習し、日本代表になれたのではないかと思います。
ただ私は、ここでお伝えしたいのは、必ずしも大きな目標や夢を掲げることがいいということではありません。
まずは、夢を見つける第一歩として、「自分がどうなりたいのか?」ということを
イメージすることが大切だと思います。
夢をイメージしてみよう
では、皆さんにも夢をイメージしてもらいたいと思います。
※研修では、ここで夢をイメージするワークをします!!
日本代表になるなどの大きな目標ではなくても、
・マラソンで4時間を切る
・あのマラソン大会にいきたい
・家族でディズニーにいきたい
・海外旅行にいきたい
・お仕事で成功したい
となりたい姿でも、得たいものでも、行ってみたい所、やってみたいことなど、一つでもいいからイメージしてもらいました。
当日、参加してくれた方からは、小学生の子は「お笑いキャラになりたい」とか大人の方は「海外旅行に行きたい」など発表してくださいました。
実際に、夢を考えたり、発表してみるととてもワクワクしてきますよね。
このワクワクする気持ちが、達成しようというモチベーションに繋がるんです。
ウォルト・ディズニーさんは、「夢は2回叶う」といったそうです。
「1回目は、その夢を考えた時、ワクワクする。2回目は、その夢を叶えた時、ワクワクする。だから、2回叶う」そうです。
本当に、私もそうだと思います。
私も世界で戦っていることをイメージしたからこそ、苦しいトレーニングも耐えられたのではないかと思います。
そして、モチベーションを保ち続けることができたのだと思います。
だから、皆さんもまず、夢を描くことから始めてみましょう。きっとワクワクしてくると思いますよ。
しかし、夢や目標は高ければ高いほど、苦痛も大きい!
どんな夢や目標でも持つことは大切です。
しかし、夢にも大きい、小さいがありますよね。
夢が大きければ、大きいほど良いように思いますよね!でも、夢は大きければ、大きいほど、一緒についてくるものがあります。
それはなんでしょうか?
それは「苦痛」です!!
苦痛を乗り越えないと夢を掴むことができないのです。
例えば、遊びたいという葛藤だったり、練習が面倒くさいとか、プレッシャーや、不安とか、怪我とか、そういうものに打ち勝てないといけないんですよ。
ちょっと例えでクイズをしますね。
この中で、一番苦労するのはどれだと思いますか?
1・オリンピックで金メダル
2・日本代表になる
3・実業団に入る
4・楽しく走る
どれが一番苦労すると思いますか?
それは、1ですよね。
私も、オリンピックを目指していました。北京オリンピックの選考会のときは2回出ました。選考会の前に、怪我をしてしまって、1回目はリタイア。そして、2回目に挑戦したとき、「私は難しいかもしれない」と思っていたんです。体だけでなく、心の葛藤やプレッシャーがあったのです。
しかし、監督は私のことを信じてくれて、「結果がどうであれ、全力を出せ!」といってくれたことに救われました。周りが私の成果を出すために信頼してくれていること支えてくれていることを心から実感できたんです。「一人で走っているんじゃないんだ」と思ったことで腹そこからパワーが湧いてきました。
2回目の選考会の、2008年・名古屋ウィメンズでは3位になり、結果として北京オリンピックに行くことができませんでした。
ただ、この経験がものすごい価値となり、その後の2008年レースは私の中でも最高のパフォーマンスが出せるようになりました。
2009年のベルリンの世界大会では、7位の入賞。団体では銀メダルをいただくことができました。
このように、高い目標であれば、ものすごい苦痛が襲ってきます。
でも、それを乗り越えたときに、素晴らしい経験ができると思います。
そして、その苦痛を楽しく乗り越えるためにも、今回は、誰でもできる加納式イメージトレーニングをお伝えしたいと思います。
【誰でもできる4つの加納式イメージトレーニング】
その1:自分で実況中継(既に叶ったイメージをする)
冒頭でお話をさせていただきましたが、私、子供のころ妄想族だったんです。
そう、達成したことのイメージするんですね。そうするとワクワクしてきますよね。この感情を大切にするんですね。
私の友人にも言われたんですが、この妄想というのは、まさに心理学的にも理に敵っているというのです。
私は、子供の頃は妄想といっていましたが、重要なイメージトレーニングなんですね。
ぜひ、皆さんも先ほど、描いた夢を叶ったときは実況中継してみましょう。
その2:強い人と一緒の行動をする
これも、自分が無意識にしていたことなんですが、とにかく強くなりたいと思ったので、強い選手と一緒にいました。
例えば、弘山晴美さんは、オリンピックに3回ほど出たことのある資生堂の大先輩なんですが、その弘山さんと一緒に行動させていただきました。
その中で、たくさんのことを教えていただきました。もちろん、トレーニングのことや考え方などありましたが、生活面でした。
アスリートも人間です。だから、ダラダラしたくなる時もありますが、弘山さんは、「とてもメリハリ」を大切にされていました。
トレーニングも遊ぶ時も、ダラダラ長い時間やらない。「飲み会も10時まで」と決めたら、きちんと終わって、次の日に持ち越さない。
そういう一つ一つの考え方が世界で戦うためのプロのメンタリティーになります。
また、強い選手と一緒にいると「自分も強いんじゃないか」と思ってくるんです。
これはセルフイメージ(自己概念)といって、自信を形成するために大切です。世界のトップと戦うわけですから、心構えもトップでないと位負けしてしまいますよね。
ですから、自分も、トップ選手なんだと心が思ってくるので、そういうメンタリティーになってくるんです。
引退後、いろいろ勉強すると心理的にもとても有効だということがわかりました。スポーツで強くなりたい。仕事で活躍したいという人は、いま、成功している人と一緒に過ごすことをお勧めします。
成功している人は、成功するための様々な工夫をしていますから、それに触れることです。
そして、一緒にいることで成功する前から成功したメンタリティーを得ることができるのではないかと思います。
その3:目標を書き出す(手帳の表紙の裏にかく)
皆さんが先ほど、イメージしてもらった夢をやはり紙に書き出すということはとても大切です。
夢というのは、書き出していても結構、忘れてしまうものなんです。
だから、紙に書き出してよく見えるところに置いておくことが大切です。
この写真は、私が実際に選手時代の目標だったんですが、私は、毎年、手帳を買い換えた時に、新年の目標を手帳の表紙の裏に書いておきました。
すると、毎回、手帳を見る時に目に入るじゃないですか!それがモチベーションになるんですよ!!
だから、夢を叶える時にとっても、大切なんですね。
皆さんも、先ほど考えていただいた夢を必ず紙に書き出してみてください。
ぜひ、ノートや手帳に書いてみましょう。そうすることで、より夢が近づいてくるはずです。
その4:毎日、振り返る
私は選手時代、毎日ノートに振り返りを書いていました。
実業団時代は、報告用の日報があったのですが、それはあまり提出していませんでした。
でも、自分用は必ず、書いていたんです。
それは、自分のコンディションや思っていことを誰にも見せることがないノートに書き込んでいました。
そうすることによって、自分自身を冷静に振り返ることができますし、調子が悪い時に、それを見返すことで、どういう時に、自分がよくなるのか、悪くなるのかが分かってくるんです。
だから、自分自身を振り返ることがとても大切だと思います。
皆さんも、夢や目標を達成する上で、振り返りをすることはものすごく大切です。
自分の手帳やノートなどに、自分の記録や思いや感情などを書き留めておくことは大切だと思います。
夢を引き寄せるために大切な3つのこと!
このように私は、アスリートとして以上のようなイメージトレーニングを行ってきました。
これは、何かを勉強してこうなったというより強くなりたいと思って自然にやっていたことでした。
これは「誰にでもできること」だと思います。特別なことではないと思いますので、ぜひ、皆さんやっていただきたいと思います。
そして、夢を引き寄せるためには、3つのことが大切です。
それが、「言葉・イメージ・感情」を向かう方向に合わせるということです。
先ほども言いましたように、まずは、夢を描き、言葉にする。
そして、それを達成した時を妄想してください。そう、イメージするんです。一人で実況中継してみてください。
そうすると、ワクワクとした感情が浮かんできますよね。
この言葉とイメージと感情が、目標達成の原動力になってきますよ。
ということで、実際にワークをしてみましょう!!
実際に、あなたが描いた理想の姿が叶ったことをイメージして「やった~」「うれしい~」と立って、大きな声で言ってみましょう。
その時に、恥ずかしいとか思っちゃダメですよ。本気で、イメージしてくださいね。
私も一緒にやります。一番恥ずかしいのは、私ですから(笑)みなさんも、恥ずかしがらないで、やった!!って心の底から伝えてみてください。それでは、ご一緒に!!
はーい。ありがとうございます。
そう、みなさんが、心から思ったことは必ず達成することができると思います。
だから、常に夢を描くことを忘れないでください。
夢を描くことと同じくらい大切なこと
夢を叶える方法というお話をしてきた私ですが、実は私も、人生は順風満帆ではありませんでした。
私だって、夢を失って、何をしたらいいのか、わからないこともありました。
それは、私が現役を引退した後のお話です。
私は35歳で現役を引退しました。その時は、次のことを考えてやめたわけではありません。少し休もうかと思って、1年くらい休養をしたわけですが、「自分がどうなりたいのか」まったくわからなくなってしまいました。
そして、アスリートとして大抵のことは、乗り越えてきたので「なんとかなるさ」という自信もありました。
しかし、加納由理からマラソンをとったら何も無くなってしまうんじゃないかと、不安になったり、自信を失っていきました。
本当だったら、もっと早くアスリートを引退して第二の人生を歩んだ方が良かったんじゃないかと後悔をしたこともありました。
そんな中、手を差し伸べてくれてのは、先輩のランナーの西田隆維さんでした。
西田さんが私のことを気遣っていただき、いま所属しているウィルフォワードを紹介してくださったのです。
ウィルフォワードでは、代表の成瀬さんが、「加納さんの経験は、人を勇気付けたり、パワーを与えることができますよ」と言っていただいき、そこから私の第二の人生が始まりました。
こうした縁が人生の次のステージを作ってくれました。人生は時に、引き上げてくれる人がいるものです。
真面目にひたむきにやっている人は誰かが見てくれていて、そして引き上げてくる人が絶対に出てくると思います。
だから、私は夢があっても、夢がなくても大切なことは「目の前のことをコツコツと取り組む」ということだと思います。
西田さんが私を紹介してくださったのも、もしかしたら、現役時代からの私の姿を知って、紹介してくださったのかもしれません。
だから、もし、夢があっても無くてもどちらでも大丈夫です。
何事も、ひたむきに真剣に取り組んでいる人にはチャンスは訪れます。
だから、目の前のことを「こんなことは私の仕事じゃない」と思わず、一生懸命頑張っている先に、夢はやってくると思います。
いま、私の第二の人生は「私の経験を踏まえた上で、走ることの素晴らしさ、そしてチャレンジすることの大切を多くの人に伝えていきたい」と思っています。
夢を持ち、ひたむきに努力していけば、必ず道は開かれていくと思います。
皆さんの将来には可能性が詰まっています。
ぜひ、楽しい未来をつくりだしていきましょう。!!
主催者様の感想!
今回の講演会の主催者様である大玉村の戸田さんから、今回の講演会の感想をいただきました。
「大玉村で駅伝チームをもっと強くしたい、盛り上げていきたいという想いから始まり、今回の講演を企画させていただきました。大玉村の教育が夢っていうのを大事にして教育していきたいと思っているので、今回の講演のタイトルである、夢の見つけ方、叶え方は最適だなと思いました。講演を聞いていて、やはり一流の人は、一流になれるような話ができるんだなと思いました。これから、どんどん加納さんの素敵な夢のお話が聞けるのかと思うと楽しみです。今回はどうもありあがとうございました。」