2020月01年15日
レース中の給水の大切さ
5kmごとの給水
私は初マラソンの大阪国際マラソンの時に監督から「5km地点でまだあまり汗をかいてなくても、まだ体が水を欲していないと感じても、給水を全部取れ」に言われ、それを実践していました。
それもあってか、こまめに給水を摂ることにしており冬のレースでも、5kmごと全部給水を取るようにしています。現役引退後初のフルマラソンになった2015年大阪マラソンでは、ゲストランナー(招待選手とは違い、オープン参加のような立ち位置)でしたのでスペシャルドリンクを置くことはできず、初めて一般のランナーと同じく紙コップでの給水をしましたが、その時も5kmごとに全てドリンクを摂るようにしました。
脱水がパフォーマンスを低下させる
何故こまめな給水が大事かというと、走ると熱が発生し体温が上昇するのですが、体は体温を下げようとして汗を出します(汗を出すことではなく、汗が蒸発することで冷えます)。発汗により体水分量が減少すると、パフォーマンス(※1)が悪くなると言われています。
※1.水分は身体全体の60〜70%の重量を占めていて、体重の2%にあたる水分(50kgの人の場合1kg)を失うとパフォーマンスが低下し始めるというデータが多く報告されています。
喉が乾いてからでは遅い
冬のレースは手足など末端の体温が上がりにくいため、あまり暑さを感じません。喉も乾きにくく、気づきにくいですが、実は冬でも長時間の運動は相当な量の汗をかいています。喉が渇きだした時には既にたくさんの量の水分が失われており、また水分を補給したとしてもすぐに吸収されるわけではないので、気付いた時には既に脱水によりパフォーマンスが低下しているということがあります。
水分とナトリウムの補給
レース中給水を取るのが面倒だと感じても、給水をこまめに取ることが大切です。水分だけをとっていれば大丈夫かと言えばそうではなく、給水の際に水分のみをとっていると体内の塩分(ナトリウム)濃度が低下して、低ナトリウム血症になってしまいパフォーマンスが低下してしまうと言われています。
このあたりは個人差が相当あると思いますので、色々と試して最適なものを見つけるのが良いかと思います。適度な塩分(0.1〜0.2%程度)が入ったスポーツドリンクや経口補水液などを飲むことがオススメです。夏場のレースだと塩飴などをとられる方もいますよね(私はレースで試したことはありませんが・・)。
スペシャルドリンクについて
東京マラソンとスペシャルドリンク
私は東京マラソン2016ではスペシャルドリンクを置かせていただきます。市販のスポーツドリンクなどは少し濃く甘すぎるため、現役時代はレース序盤のスペシャルドリンクは水に近い濃さにしておいて、後半に行くにつれて少しずつスペシャルドリンクを濃くしていって、レースの終盤のエイドでは同じ濃さにしていました。
私はきつくなってくると、段々甘い味のものが飲みたくなってくる(と言うよりは甘い物を飲むのが楽しみになってくる)人だったので、そうすることでレース中の辛い気持ちを紛らわしていました。
アリスト社スーパーメダリスト
今回の東京マラソンのスペシャルドリンクはアリスト社のスーパーメダリストという製品を使わせていただきます。スーパーメダリストにはクエン酸(※2)やBCAA(※3)などが含まれていて、レース中の脂肪代謝や疲労軽減に効果的だと思っています。
アリスト社のスーパーメダリストは一流アスリートにもかなり支持されており、安心して自分のパフォーマンスを出すためにも間違いの無いドリンクだと思います。何より味が飲みやすいので、それがポイント高いです。ですので今回もスペシャルドリンクとして使わせてもらうことにしました。
※2.クエン酸は炭水化物やタンパク質、脂質などの代謝の中で重要な経路である「クエン酸回路」という経路を働かせるのに重要な成分であり、クエン酸回路が十分に働くことでレース中の疲労が溜まりにくくなります。
※3.BCAAはバイン、ロイシン、イソロイシンという人間の体内で作ることのできない必須アミノ酸の中でも人の筋肉の中に占める割合が特に多いアミノ酸3種類の総称です。マラソンの後半になると体内の炭水化物や脂質などのエネルギー源が枯渇してしまい、エネルギー源が枯渇してしまうと体内の筋肉を分解するようになり、パフォーマンスが低下してしまいます。BCAAを摂取することで摂取したBCAAが代謝され筋肉の分解を防ぐことができます。またBCAAをレース中に摂取し血中のBCAA濃度を高く保つことで「セロトニン」という疲労を感じる原因となる物質が生成されにくくなり、レース中に疲労を感じにくくなります。
スペシャルドリンクのボトル
東京マラソンはエリートの部で出場するため、スペシャルドリンクを当日の朝6〜7時に提出することで置いてもらうことができます。他のエリートの部のランナーも置くため、走りながら取るには「取りやすく」かつ「目立たせる」必要があります。そこで100円均一などで売っている小さなボトルに針金で輪っかを付けて、そこに花などで装飾をしました。今までは作ってもらっていたので、今回は初手作りです。初めてにしてはうまくできました。
給水をする際の注意点
給水と集中力
給水が不十分で脱水がすすみ、パフォーマンスが低下するというデメリットの話をしましたが、過度に意識するあまりに、レース中に給水を取れなかった場合に不安が出てきてしまうことがあります。
給水の前後というのはペースアップしたり、揺さぶりをかけたりと、マラソンレースが動きやすいタイミングです。精神的に動揺した隙をつかれるとそこからズルズルと失速するということもありえます。私はあんまり給水失敗することはなかったんですが、失敗した時のレースを振り返ると完全に集中力を切らして、あまり良いタイムが出なかったように思います。
ですので、気にしつつ、気にし過ぎない、うまくいかなくても焦らずに次を多めに摂ろうくらいに思うのが良いと思います。
また、今回の東京マラソンのような冬の大会では走る時に手袋をつけて走られる方が多いと思います。給水を取る際に手袋をつけたままだと、コップを取った際に中身がこぼれてしまって手袋が濡れてしまい、体温が奪われてしまうことがあるので、給水の際は手袋を外してコップを取ることがオススメです。
ちなみに紙コップで摂る場合は上からコップの中に指を入れるようにつまみ上げるようにとり、一箇所を折って注ぎ口を作って飲むと飲みやすいと思います。本番前に練習しておくのも良いかと思います。
最後に
今回の給水については自分の体験を元に、スポーツ栄養学に詳しい方にも相談をして、記事にしてみました。不十分なところもあるかもしれませんが、参考にしていただけたらうれしいです。
東京マラソンまであと少し、やれることは限られていると思いますが、出来る限りの準備をして、「人事を尽くして天命を待つ」という気持ちで当日を臨み、当日はただただ自分のベストを尽くせるように頑張りましょう!皆さん、一緒に頑張りましょう!