2019月12年25日
北海道マラソンアンバサダー、加納由理
北海道マラソンは日本国内で行われる唯一真夏に開催される日本陸連公認のフルマラソン大会です。1987年にわずか439名のエントリーで始まった第1回から数えて、今年で記念すべき第30回目。参加者定員数も17,000名となり、国内最大規模レベルのマラソン大会です。
近年、マラソン大会を盛り上げる存在として、アンバサダーと呼ばれる人たちが就任することがあります。アンバサダーとは「大使」という意味で、要はマラソン大会の開催を多くの人に伝えたり、大会当日を盛り上げたりする存在です。
北海道マラソンでは、1992年バルセロナオリンピック女子マラソン銀メダリストの有森裕子さんをはじめ、北海道マラソンや北海道のスポーツに関わりの深い人たちが私(加納由理)を含めて11名、北海道マラソンアンバサダーに就任しました。
加納由理と北海道
私は北海道にとても思い入れがあります。北海道には合宿で何度も来ています。深川、士別、綱走、別海、紋別、札幌と北海道の広大な大地で思い切り走らせてもらいました。また、自分自身2度目のフルマラソンとなる2007年の北海道マラソンでは熱中症になり意識もうろうとしながらも優勝することができました。それだけではなく、大学1回生時に札幌で行われた「日本学生種目別選手権」では、レース中に初めて転倒したという苦い思い出がありますし、2008年に開催された「札幌ハーフ国際マラソン」では優勝を誓い出場し、自分よりも格上の選手に勝つことができ優勝の喜びを味わいました。実は私の自己記録の内、3000m、5000m、ハーフマラソンの3種目は北海道で出した記録でもあり、私にとって北海道は縁起の良い場所でもあります。
※2007年北海道マラソン優勝時の写真
そんな思入れ深い北海道マラソンのアンバサダーに選んでいただいたので、精一杯北海道マラソン大会に恩返しをしようと、盛り上げてきたので、今回は加納流のマラソンの盛り上げ方を紹介いたしていきます!
マラソン大会前のアンバサダー活動
マラソン大会のアンバサダーに就任したからと言って、それだけでマラソン大会が盛り上がるわけではありません。マラソン大会当日にゲストとして参加して、参加者や応援者を盛り上げるということだけがアンバサダーのできることではないはずです。
ということで、私は北海道マラソンアンバサダーが決定して、まず自分のマラソン関係の繋がりで北海道関係者に相談をしました。「加納由理が北海道マラソンを盛り上げるなら何ができるだろうか・・・」そう考えてみることから始めます。
北海道新聞の方に取材をしていただいたり、UHB(北海道文化放送)で7月27日に放送された「みんなの北海道マラソン」に出演させていただいたり、自分自身のブログやSNSでも北海道マラソンの情報発信を行いました。
ランニング仲間たちや仕事関係者にも北海道マラソンの参加も呼びかけると、「パンちゃんが参加するなら行くよ!」、「由理ちゃんと走りたい!」とたくさんの人が北海道マラソンへ出場することを決めてくれました。
正直、現役時代はゲストとしてマラソン大会に呼んでいただいても、自分がそのことを発信して多くの人に知ってもらい、興味をもってもらい、一緒に盛り上げていくということを考えることができていませんでした。ですから、こうやって現役の一線を退いてみて、日頃から市民ランナーの方たちと一緒に接する機会をたくさんいただいて見えてくるものがあるんだなと感じています。
マラソン大会前日は一番自由に動ける日
私はマラソン大会当日はできるだけランナーの方たちと一緒に走ることにしています。なので、ゆっくり参加者の方の質問に答えたり、ファンの方と一緒に写真を撮らせていただくことが一番できるのは大会前日なんです。
今回の北海道マラソンでは、前日のマラソン大会EXPOにてアンバサダーによるトークショーも行われました。トークショーでは、歴代の北海道マラソン優勝経験者である有森裕子さん(1995年優勝)、嶋原清子さん(2009年優勝)、原裕美子さん(2010年優勝)、野尻あずささん(2014年優勝)と私というメンバーでした。国際舞台を経験した素敵な女性マラソンランナーがズラッと並ぶというのはなかなか見れない光景だったのではないでしょうか?
私は北海道マラソンで暑さ対策ということを一切考えておらず、特別な準備もせずに冬のレース同様に前半からハイペースで突っ込んでいったので、脱水症状を起こし、後半は意識がとびそうになり、何とかゴールをしたという経験がありましたので、「レース前、レース中にこまめに水分を補給すること」や「帽子を着用すること」と呼びかけました。
また、今回はフルマラソン42.195kmをファンランとしてゆっくり走ることにしていたので、「どれだけ友達が出来るかに挑戦します!みなさん、声かけてくださいね!」と宣言しました。
今回は司会の方が進行するスタイルのトークショーでしたが、マラソン大会の規模や特徴により、講演スタイル、ランニングクリニック、子供向けのイベントとマラソン大会を前日から盛り上げるコンテンツは色々と考えられます。特に参加する方々が何を期待しているかは最も重要です。記録を狙っている本気のランナー、初めてフルマラソンに挑戦するランナー、とにかく仲間とランニング以外も楽しみたいと思っている人たち、それぞれのニーズと目的に合わせながら、マラソン大会の魅力、マラソン大会が行われる地域の魅力を知ってもらうことがアンバサダーの役目かなと思っています。
マラソン大会当日は市民ランナーと一緒に走って盛り上げる
マラソン大会でゲストランナーなどをお願いされた際には、極力一番長い距離の部に出場することにしています。多くのゲストランナーは10kmや途中までなど短い距離しか走らない人が多いですが、せっかくなのでコースを満喫したいですし、できるだけ長い時間、選手や沿道で応援してくれる方と接していたいと思っています。
一番長い距離の部を走ると言っても、大きく分けて以下の5つの走り方ができます。
① 全力で走る
② トップ集団で走る(走れるかは別問題)
③ ペースメーカーとして決めたペースで走る
④ ファンランとしてペースを気にせず走る
⑤ 最後尾からみんなを抜きまくる
正直、こんなことをできる女子ランナーは自分くらいかなと思ったりします。現役の選手であれば、柔軟にやることは難しいでしょうし、引退したランナーで日頃走っていなければトップの方でも走るのは困難です。引退後もしぶとく走り続けている私ならではですね^^;
今回の北海道マラソンは④ですね。ファンランとしてペースを気にせずに(だいたいサブフォーくらい)走ることにしました。前日のトークイベントを見てくれていた人が、「昨日のトークショー見ましたよ」と声をかけてくれたり、「加納さん、頑張ってください!」と逆に応援してもらったり、走っている最中にたくさんの方が近づいてきてくれて、おそらく数百人の方とは走りながらハイタッチをしたと思います。やっぱり楽しかったですね。
ゴールのタイムは3時間58分台でした。いつものフルマラソンの走行時間から行くと1時間以上も長く走ったことになります。正直、こんなに長い時間走ったのは初めてです(普段はもう少し早いペースで走るので)。自分のペースじゃないということもあり、20km超えたあたりからは予想以上に足が重く、普段よりも遥かに多く給水をガバガバとりました。
ゴールし終わってからいつも以上に体力を使ったと感じました。だから「4時間も走り続けていたランナーはある意味トップランナーよりもすごいな」と感じます。まだまだ色んなことを経験し、学習しなければいけない私にとって今回の走りはとても貴重な経験となりました。
市民ランナーの方から「サブフォー(フルマラソン4時間を切ってゴールする)をしたい!」という相談を受けることがあるので、今回の経験を今後のランニング指導に活かしていきたいと思います。
マラソン大会ゴール後は
現役時代はマラソン大会にゲストで参加しても大会が終わったらすぐ帰ることがほとんどでした。ですが、今はできるだけその地を満喫することも心がけています。マラソン大会を通して、地域の魅力をたくさんの人に気付いてもらい、好きになってもらうというのもマラソン大会を開催する魅力の一つだと思います。
今回は北海道ということでマラソン後のお楽しみもたくさん。マラソンを終えてからは、仲間のゴールを応援したり、完走した方々と讃え合いました。北海道マラソンはフェアウェルパーティーがあるので、そこに参加して色んな方と交流をしました。
パーティー後は会社関係の人たちのジンギスカン打ち上げに合流し、翌日からの数日間も北海道でゆっくりしながら、仲間と遊んだり、友人に会いに行ったり、お世話になった方へ挨拶に行ったりしてきました。
マラソン大会に限らずスポーツイベントを開催する際に「ゲスト」をどうするか、という観点があると思います。ただ呼ぶことをゴールにするのではなく、呼んで一緒にイベント前、イベント中、イベント後に何ができるのかという視点で考えていくと、面白いことができるのではないかなと思います。私ももっと自分自身を磨いて、たくさんのスポーツイベントに関わっていけるようになりたいと思います!何かオススメがありましたら教えてください!