2024月03年06日
東京マラソン2017、慣れの怖さ
皆さんはマラソンのレースを走るとき、どんな目標設定をしていますか?
「自己ベストで走りたい。」「4時間以内で走りたい。」「初めての人ならマラソンを完走をしたい。」など、人それぞれ目標があると思います。
今回、私も目標を設定し、東京マラソン2017を走ってきました。
目標タイムは2時間45分前後に設定しました。
「東京マラソン2017スタートの様子」
結果は「2時間45分09秒」で、女子総合24位でした。
結果からすると、目標は達成され喜ぶところなのです。ゴールした直後は、何とか目標タイムの範囲内で走れたこともあり、ホッとしました。しかし、時間が経つと何だか自分の中で不完全燃焼感が出てきたのです。
目標を達成したにも関わらず、この不完全燃焼感は何なのか?
皆さんも、マラソン、スポーツ、お仕事などで、こんな経験をしたことありませんか?
今回は、こうした私自身の経験を振り返りながら、目標達成と充実感について考えていきたいと思います。
自分はベストを尽くしたのだろうか?
レース後、一緒に走ったラン仲間と食事をしながら話をする中で、気付くことがありました。仲間の一人が「すれすれの目標だから絶対に達成しようと思った。」と話していたのです。
その男性は今までの自己ベスト2時間43分45秒でしたが、今回の東京マラソンでは9分27秒更新し、2時間34分18秒でゴールしました。
表情をみていると本当に嬉しそうで、やりきった感が伝わってくる顔をしていました。
他のラン仲間も「達成できるか、できないか?」の目標設定の中で日々トレーニングに励み、そしてレースに挑んでいたのです。
逆に私は、目標を達成したのにそれほど喜べていない自分がいたのです。なぜなら、今回はそこそこ頑張れば達成できる中での目標設定だったのです。
今回は、現役時代と違って、とにかく速く走るマラソンではなく、楽しんで走るマラソンにしたいと思っていました。ですから、高い目標を最初からあげていなかったのです。
しかし、走りきった後「やっぱりもっと走れたんじゃないか?」と欲が出てきてしまいました。無難な目標を達成してもスッキリしない自分がいたのでした。
東京マラソンへの準備と心構え
ちなみにここで、私の東京マラソンへ向けてやってきたことを振り返っていきたいと思います。マラソンを走るのに、一番重要となってくるのはもちろんラントレーニングです。
今、私のトレーニングでベースとなるのは、日々のジョギングです。週5〜6日走り、ペースは1km4分30秒〜5分30秒くらいで1回10〜20km走ります。月間走行距離は、350〜400kmくらいです。
「レース前のウィーミングアップ」
去年の東京マラソン前は、あれもこれもやろうとして、レース1カ月前に踵を痛めてしまいました。ですから今年は無理のないトレーニングを続け、その中で最高のパフォーマンスを発揮しようとトレーニングをしてきました。
東京マラソン2016のブログはこちら→http://kanoyuri.run/blog/379/
このブログを読んでくださっている方の中には、私の練習量をみて「結構走っている。」と感じる方もいると思います。
しかし、私の現役時代と比べると、今は走力を落とさないよう、力をキープしているような感じの練習量なのです。追い込んで、走ることでいっぱいいっぱいのトレーニングよりも、楽しく、時には苦しいトレーニングをするという感じでした。
今回のレースも楽しみながら速いレースをしたいと思っていました。1月の石垣島マラソンを2時間49分台で走れたことを目安に、東京マラソンは2時間45分前後でゴールすると目標設定をしたのです。
当日レースは前半オーバーペースだった
実際のところ、レースは自分でスタート前に想定していたペースよりかなり速いペースで入ってしまいました。
「予定より速いペースで行ってしまったけど、もう行ってしまえ!という心境の加納由理」
正直、ちょっと今の自分の力を過信しているところもあったと思います。そこでも「多少速くても何とかなるだろう。」「きつくなったとしても、大崩することはまずない。」と思ってしまったのです。
ですが、やっぱりマラソンは、そう甘くはなかったです。だからマラソンは面白い。
レース後半、今までのマラソンでは味わったことがないくらいきついレースでした。レースの中で、初めて足が前にでなくなるという感覚にもかられ、40km時点で歩きそうになりましたが、そこを何とか気力でゴール。
そんな状態でしたから、目標設定通りに走れても、なぜか不完全燃焼感が残ってしまったのです。
人によって目標設定にも良い悪いがある
このスッキリしないのは、なぜだろうか。自分自身に振り返ってみると、目標設定は3段階に分けることができるのではないかと思います。
1つ目が、『高すぎる目標』です。
これは、現在の力量以上、達成することが難しい目標だと思います。
例えば、今の私であれば、2時間30分を切るような設定です。現役時代なら分かりますが、現在の私には現実的ではありません。目標を高く設定しすぎると、達成できないのではないかと思い、逆に諦めてしまう人もいます。
ただし、高すぎる目標の場合でも、長期的にそれを見据えて、段階的に達成を積み上げていくことも可能です。私の大学生時代に世界大会に出たいというのは、高い目標設定ですが、一つ一つ段階を踏むことでこの目標は実現していきました。
2つ目は「ちょっと高い目標」です。
これは、今現在チャレンジして達成できる目標と言えます。達成に向けて計画を持って目標に向かっていくことが必要になってきます。
昨年の私はこの段階の目標設定で東京マラソンを走りました。去年は、2時間39分37秒でゴール。今の生活、今の練習環境の中で2時間40分を切るのは、チャレンジな領域でした。このちょっと高い目標を達成できるととても嬉しいものです。
3つ目は「こなせる目標」です。
これは、チャレンジする前から、達成出来るだろうと思う領域の目標です。こなせば達成可能な目標。この目標は、達成してもそれほど満足度が高くありません。
今回の東京マラソンはこの段階でした。 1カ月前の石垣島マラソンで2時間49分台で走りましたので、大体今の力からすると2時間45分くらいで走れると思っていました。ですから、目標を達成しても、嬉しさが込み上げてくることはありませんでした。
石垣島マラソンブログ→http://kanoyuri.run/blog/1082/
マラソンというのは、人それぞれの目標があると思います。どのタイムで走っても、ドラマがあるものです。しかし、今回、私が走ってみて感じたのは、「自分に挑戦しないと面白くない」ということでした。
現役を引退してからというもの、「楽しく走る」ということを大切にしてきました。しかしながら、今までの経験と蓄積でできてしまうのは、惰性になってしまうのではないかと思いました。ですから、もっとチャレンジしていきたいという気持ちがふつふつと湧いてきました。
やっぱり、一生チャレンジしていきたい
この、モヤモヤした気持ち、やっぱりチャレンジしたいという気持ちを胸に、自分自身で確信したことがあります。
それは、ランナー加納由理として、初の100kmマラソンに挑戦します。
予定では今年の6月に行われる大会「サロマ湖100kmウルトラマラソン」です。
「サロマ湖 (写真引用:北海道無料写真素材より)」
「今の自分がどうなるか分からない、すれすれの目標に向かって行くなら100kmだ。」と思い、走ることにしました。
今回のレース、自分の中では不完全燃焼で終わってしまったレースでしたが、仲間の頑張りはランナー加納由理としてスイッチが入るきっかけになりました。
実は、東京マラソンゴール後すぐにテレビのお仕事で実況をされていた高橋尚子さんから 「現役引退して2年半も経って、こんなに走れるんだったらすぐに復帰できるよ!」「若い選手にも刺激を与えられるような走りをして!」 といったような言葉を頂きました。
引退してからも、こうして期待して声をかけて下さることに感謝です。 復帰するかはさておき、今の自分もこれからも変わらず居続けたいのは、「生涯ランナーであり続けること」です。
先程申し上げたように、高い目標でやっていくことに変わりはないです。 しかし、これだけは譲れないというこがあります。 それは、「走ることを楽しむこと」です。
今の私は、これがなくなったら走ることを止めてしまうかもしれません。 なぜなら現役時代、結果を出さなくてはならない状況の中でのプレッシャーがあり、その中で怪我を起こしてしまった経験があるからです。 だから、そうならない為にも走ることを楽しみ続けていきたいと思っています。
最後に
「目標達成したけど達成感がなかった」からはじまった今回のブログ。
目標通り出来たとしても、何だか達成感がない。おそらく、マラソンだけでなくお仕事でもこういった経験のある方は多くおられるかと思います。
今回、私が東京マラソンを走って気付いたことは、 「目標とは設定の仕方で終わった後の達成感が変わってくること」そして「慣れは怖い」ということです。
「レース後半みんなの声援を力に奮闘中」
今回の私は、目標の2時間45分台で走り終えました。 でも、達成感がなかったのは、このくらいでは走れると最初から分かっていたからです。 ですから、ラン仲間の言葉にあった「きわきわの目標」の中で戦ってみるということをやってみたいと思いました。 想定内の目標は達成しても面白くないです。
先程書かせていただいた「サロマ湖100km」もそうですが、もちろん大会のゲストランナー、トーク、マラソンで地域創生も緊張感を持って全力で頑張っていきます。それを出来てこそ、今のランナー加納由理だと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。 これからも応援どうぞよろしくお願いいたします。