2020月01年15日
今年の8月は東京は毎日雨が降り続けていましたが、この2、3日は雨が降らず夏らしい天候が戻ってきました。
3年後の東京オリンピック・パラリンピックの開催予定は2020年7月31日〜8月7日となっていますので、マラソンは暑さとの戦いは必須になるでしょうね。
日本から遠いロンドンで熱戦が繰り広げられていたロンドン世界選手権閉幕から一段落したと思えば、今度は日本で、2020年の東京オリンピックに向けた新しいマラソンシリーズ「MGCシリーズ(マラソングランドチャンピオンシップシリーズ)」が始まります。
これまでのマラソン日本代表の選考方式は複数の選考レースから数名を選ぶ方法でした。
国内の選考レースでは男子は「福岡国際マラソン」、「東京マラソン」、「びわこ毎日マラソン」の3レース。
女子は、「さいたま国際マラソン」、「大阪国際女子マラソン」、「名古屋ウィメンズマラソン」の中から選考基準タイム突破して日本人トップになるかオリンピック前年の世界選手権でメダル又は入賞した日本人トップの選手が代表に内定となっていました。
しかし、近年は基準タイムをクリアする選手はひさしく現れておらず(名古屋ウィメンズマラソンで安藤選手が突破)、選考レースの日本人トップの選手が選ばれるプロセスでも様々な波紋をよんでいました。
オリンピック、世界選手権の代表を決めるにあたっては、記録(タイム)重視、順位重視、レース内容重視だったり、毎回選考基準が変わり、レース以外での争いが注目され、メディアでも色々と問題で取り上げられることが多くありました。
私自身も、2007年の大阪世界選手権の時は選考レースでのタイムは全体で3番目でしたが、6番手として補欠でしたし、2009年のベルリン世界選手権の時も、即内定を決めれずに内定をもらうまでに4ヶ月待ったこともありました。
内定を待つ間にも、レースもトレーニングもやっていかなくてはなりませんので、集中が欠けることも多くありました。
今回の新しい選考方式の選考は、緊張感もありますが、「一発選考」という潔い選考で、若い選手が多い今のマラソン界にとっては良いと流れだと思っています。そして、この新しい選考方式で嫌な思いをするスタッフや選手が少なくなることを願っています。
しかし、この新しい選考方式、少しややこしいので、私なりの説明をここからさせていただきたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
MGCシリーズ(マラソングランドチャンピオンシリーズ)とは?
MGCシリーズ(マラソングランドチャンピオンシリーズ)とは、2020年東京オリンピックマラソン選考会(MGCレース)に出場するための選考会のことです。つまり、一発選考のレースに出るための権利を得るための大会です。
引用:マラソングランドチャンピオンシップスofficial Siteより
国内では、男子が「福岡国際マラソン(2017年・2018年)」、「東京マラソン(2018年)」、「びわ湖毎日マラソン(2018年)」、「別府大分毎日マラソン(2018年)」、「北海道マラソン(2017年・2018年)」の4大会。
女子が「さいたま国際マラソン(2017年・2018年)」、「大阪国際女子マラソン(2018年)」、「名古屋ウィメンズマラソン(2018年)」、「北海道マラソン(2017年・2018年)」の4大会となっています。
その国内選考の第1弾が、今週日曜8月27日(日)に開催されます「北海道マラソン2017」です。
大会ごとで、MGCレースに出場できる資格基準が違ってくるのですが、北海道マラソンを例にあげてみると、男子は1位であれば2時間15分以内、2・3位の場合は2時間13分以内です。女子は1位であれば2時間32分以内、2・3位の場合は2時間30分以内で出場資格を得ることが出来ます。
北海道マラソンは真夏のレースですので、他の大会に比べると基準タイムは低くなっていますが、簡単ではない基準です。
ちなみに私が走った北海道マラソンは30km以降脱水症状でフラフラでしたが2時間30分43秒で優勝でしたので、今年であれば出場資格を得られるということになります。
暑い中でのレースは前半のペース配分で、ゴールタイムがかなり変わってきます。暑さ対策をしっかりして、一人でも多くの選手がMGCレースへ進めることを願っています。また、国内レース以外でもMGCレースに出場するための、ワイルドカード枠というのがあるのです。
それが、
▼「国際陸上連盟が世界記録を公認する競技会」(2017年8月1日〜2019年4月30日)で、①か②のいずれかを満たすこと。
①男子2時間08分30秒以内、女子2時間24分以内又は
②期間内の上位2つの記録の平均が男子2時間11分00秒以内、女子2時間28分00秒以内
▼2017年ロンドン世界選手権8位入賞者。
▼2018年アジア大会(ジャカルタ)3位入賞者。
▼MGCシリーズの各大会において、天候などによりMGCレースへの出場資格条件を満たさなかった場合、強化委員会が
出場資格相当と判断した選手。
ロンドン世界選手権の男子マラソンで9位に入った川内優輝選手がMGCレース出場獲得の第1号になりそうでしたが、9位ということで、出場資格第1号は今週の北海道マラソンに持ち越されました。
MGCレース出場資格を確実に得るためには、選考レースで選考基準をクリアするつもりで1発はベストコンディションで走ることが必要になってくるなと感じました。
海外レースは記録以外にも海外選手と走れる経験ができるという点もありますし、国内レースは自身の走りをホームで発揮するということも出来ますよね。
ブログ:海外レースを経験するメリットについて書いた記事は記事はこちら
私なら、国内外何レースかして、経験と本番(オリンピック)に向けての準備をしながら、MGCレースを迎えれたら最高だなと考えてしまいました。皆さんも、2020年の東京オリンピックマラソン選考会の過程に注目してみて下さいね。
MGCレースとは?
2020年東京オリンピックマラソン選考会が「MGCレース」と言います。
「MGCシリーズ(マラソングランドチャンピオンシリーズ)」で、出場資格を突破した選手が2019年の9月頃に東京オリンピックに近い条件(コースや気象条件など)でMGCレースを走ります。このMGCレースで上位2枠の代表選手が決定します。
MGCレースの上位2名は、即内定となります。
そして、最後の1枠はMGCレース後の「MGCファイナルチャレンジ」によって決定します。
MGCファイナルチャレンジとは?
代表枠最後の1枠を争う「MGCファイナルチャレンジ」は、以下2019年度の3大会になっています。
男子は「福岡国際マラソン(2019年)」、「東京マラソン(2020年)」、「びわ湖毎日マラソン(2020年)」の3レース、女子は「さいたま国際マラソン(2019年)」、「大阪国際女子マラソン(2020年)」、「名古屋ウィメンズマラソン(2020年)」の3レースとなっています。
選ばれる条件は、MGCレースに出場して完走していること、もしくはMGCレースの出場資格を持っていることです。
このファイナルチャレンジ対象大会で指定された記録(2019年5月に発表)を突破した最上位者が対象となり、ファイナルチャレンジで
指定された記録での突破者がでなかった場合は、MGCレースで未内定の2位もしくは3位で未内定の選手が代表に決まります。
ファイナルチャレンジでの指定記録は、男子2時間05分49秒、女子2時間22分22秒。
ファイナルチャレンジの条件をみる限りでは、ここで決めるにはかなりのハイペースで勝負していくことが必要になってきそうですね。
新しい選考方式で私が思うこと
私の選手時代は、国内外幾つかの大会からの選考でしたので、アメリカの選考方式の1発選考は、正直ものすごく厳しいなと感じていました。
しかし、今回のロンドン世界選手権女子マラソンでは、アメリカのエイミー・クラッグ選手が銅メダルを獲得しました。
クラッグ選手は、前年のリオオリンピックのアメリカ選考会でも優勝しています。
マラソン自己記録は2時間27分台なのですけど、相手の持ちタイムに物怖じしない、勝負強さを感じさせてくれる選手です。この勝負強さこそが、オリンピック・世界選手権では必要になってきますね。
今回の新しい選考方式は、挑戦という面ではスタッフ陣も選手も緊張感高まるかと思いますが、この緊張感を何回も経験していくことで、大事なレースでも自然と自分の力が発揮できるようになってきそうですね。
大舞台で力を発揮するには、やはり経験が必要となってきますが、このMGCシリーズで世界選手権で戦える選手が出てくることを願っています。
マラソングランドチャンピオンシップス Ofiicial Siteはこちら