2020月01年15日
夏本番、まだまだ暑い日が続いていますが、皆さんはどのようなトレーニングをされていますか?
私の22年間の競技生活を振り返ってみても夏は、年間を通してレース・トレーニングで苦しむことが多い時期でした。
皆さんの中には、夏のトレーニング・レースを経て、なかなか回復しなかったり、成果が出しにくいランナーの方もおられると思います。
私も休んでいるのに、なかなか走れず、思い悩む時期がありました。
その時は大変でしたが、今ではこのような経験が学習になり、「夏の走り方・戦い方」を知るきっかけになりました。
ですので、今日はこの難しい夏の時期の乗り越え方について、お伝えします。
夏のマラソンで注意すべき点は2つです。
夏のマラソンで注意すべき点は2つです。【慢性疲労】と【脱水症・熱中症】です。
私もこの2つにとても苦しみました。
実際にどんな症状が起きて、どんな経緯をたどったのか私の経験を振り返り、
その対策も考えていきたいと思います。
その1【慢性疲労】には気をつけろ!
初めて体の疲労が抜けない慢性疲労を経験したのは、大学3回生の時でした。
学生のオリンピックであるユニバーシアードで日本代表になり、3週間の海外遠征から帰国してきた7月下旬のことです。
ユニバーシアードでは、目標の金メダルを取ることができず、銀メダルに終わりました。
その悔しさから、私は9月中旬に行われる「日本学生選手権(全日本インカレ)」で優勝すべく、ユニバーシアード後、休養をとることなく、トレーニングを始めました。
トレーニングに入ったものの、「やけに体はだるい、常に眠い。体がついてきてくれない。」といったような感じでした。
私はこの時期、自分の体を楽観視しているところがあったので、体がしんどいと感じながらも、「走れているから、インカレは何とかなるだろう。」と考えていました。
しかし、レース1週間前の調整期に入っても調子は上がってきません。
むしろ脱水症のような状態になり、体は不調、私は不安を抱えたままでレースを迎えました。
結果は
、
、
、
何とか優勝。
インカレチャンピオンになりましたが、素直に喜べない自分がいました。
なぜならば、学生トップランナーだった私は、トレーニングもレースも常に全力で挑み、いつでもベストパフォーマンスが出来ると思っていたからです。
インカレが終わり、ユニバーシアードから帰国してからの自分の生活、トレーニングを振り返ったところ、いくつかの気になる点が出てきました。
など、思っていた以上に、自分の体に負荷をかけていたことが大きかったことに気付きました。
そして、休まなければならない時期を無視して、トレーニングを欲張った結果、 この慢性疲労は11月の駅伝シーズンまで引きずることになりました。
エース区間1区で区間賞を取るという目標で挑んだ全日本大学女子駅伝でしたが、結果は区間3位に終わりました。
今思えば、ユニバーシアード後の1カ月くらいはレベルを少し落としたトレーニングをして、調子が上がってくるのを待つのが良かったんだろうな。と思ったりすることがあります。
また、「なぜあの時トレーニング量を落とせなかったのか?」を考えると、 ユニバーシアードで目標の金メダルに届かなかった悔しさからだったと思います。本当に金メダル以外考えてなかったのです。
この悔しさを晴らすためには、9月の「全日本インカレ」で自己新を狙うつもりでしたが、「いい結果を出さなくてはいけない」という「焦り」が大きかったように思います。
皆さんも、良くなっていきたい、記録を伸ばしていきたいと思うと休むことは不安かもしれません。
しかし、焦っていても記録は伸びるわけではありません。この経験から、なかなか調子が上がってこない。という方は、思い切って休んでみることをお勧めいたします!
その2:【熱中症・脱水症】には気をつけよう
次に、夏のマラソンを快適に走るためには、【熱中症・脱水症】にも気をつける必要があります。
それは、フルマラソン2回目の挑戦になった、2007年の北海道マラソンです。
レース当日は9月の北海道なのに、蒸し暑く体にこもるような暑さでした。
私は暑さに自信がありました。
気温が30度近くまで上がろうが、ゴールタイムは2時間25分を切るつもりでスタートしました。
スタートして20kmまでは順調な走り出しでした。
ですが、中間点を過ぎたあたりから頭が「ぼー。」っとしてきました。
油断したら一気にペースダウンしそうな感覚でした。
何とか30kmまでは気力で乗り切りました。
しかし、30km以降はこれまでとは違った体の異変が出てきました。
「耳に膜が張ったような・・。」
「沿道で応援してくれている人の声もよく聞こえないな・・。」
こんな体の反応は初めてでした。
自分の体の中で何が起きているのかも分からず、体の異変と葛藤しながらとにかくゴール地点の中島公園を 目指しました。
私はゴール後力尽きてしまい、すぐに医務室に運ばれ、点滴の治療をうけました。
脱水症になっていた上に、熱中症にもなっていましたので、体温も40度くらまで上がってしまっていました。
北海道マラソンのレースを振り返ってみての反省点は3つありました。
マラソンランナーなら当たり前の対策が出来ていなかったのです。
レース中での、脱水症・熱中症はもう二度と味わいたくない経験でしたが、私にとっては今後の マラソン人生に生きるレースになりました。
なぜ、当たり前の対策をしなかったのか?
レース前のウォーミングアップの時点では、曇っていたのです。
そこで自分の中では「帽子かぶらなくてもいけそうだな。」と思ってしまったのです。
42.195kmという距離で帽子をかぶり続けることに抵抗があった上に、真夏の暑い時の練習でも、そこまで慎重にならなくても走れていたところから、そこまでの必要性を感じてなかったのが理由です。
【私がやってみたこと】
以上のような、苦い経験によって私が学んだ夏対策のノウハウをここで紹介したいと思います。
→その日のトレーニング内容、その日の体の状態をノートに記録する。( 記録を残すことで自分の振り返りにもなるから。)
→例:1週間落としてみて、回復していれば徐々にレベルアップ。
練習を落としすぎて不安な場合は、流し100mを70%くらいの力で刺激を入れるのも良い。
→「義務感で走る」を「楽しく走る」に切り替える。マラソンは楽しみがあるからこそ出来る競技だと思います。
私も選手時代はなかなか思い切ってトレーニングを休めない方でした。
20代前半の常に「ベストの状態でいなくてはいけない」という意識がありましたが、年齢を重ねるに連れて「レースもトレーニングも強弱つける」という感覚も覚えました。
ベストコンディションの状態の時はそのレースに賭ける。
そうでない時はその時のベストを尽くす。に切り替えることが出来るようになりました。
その結果、20代前半はレースでもムラがあったのが、20代後半からはレースでほとんど外すことがなくなりました。
特に気持ちに余裕があったシーズンは、年間を通して良いパフォーマンスが出来た年になりました。
【暑い時期のマラソンに向けて】
私がアンバサダーを務めさせていただく北海道マラソンも本番まであと2日となりました。
私の周りのランナーも北海道マラソンに向けて、着々と準備をしているところです。
夏の暑い時期は本当に走る時間から、走るウェア、走る距離など、いつも以上に気をつけなくてはならない時期です。
ですが、暑い時期の走り方を身につけることによって、楽しめるようになるはずだと私は思います。
2007年「北海道マラソン」の苦い経験は、「夏のマラソンはきつい」を「面白い」に変えてくれ、私に夏のマラソンを教えてくれました。
私の夏の経験が、多くのランナーさんの夏のランニングライフの参考になれば最高です。
どうぞよろしくお願いいたします!